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リメンバー、船場。 vol.4 ~ (株)綿長物産 Alex Home Decor 篇 ~

2020.01.31

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輸入家具専門店 綿長物産 Alex Home Decor

今年開業50年を迎える、船場センタービル。そんな船場センタービルの歴史をひも解くべく、この地で長らく商売をする商店をピックアップ。第4回は、父が布団屋を営んでいた場所に加え、舶来マートにもお店を構える輸入家具専門店[綿長物産 Alex Home Decor]さんにお邪魔して、お話を伺ってまいりました。

ヨーロッパ家具の宝庫を、舶来マートでハッケン。

ヨーロッパ家具の宝庫を、舶来マートでハッケン。

ーー今日は、よろしくお願いします。綿長物産という会社名を見たときに、布団なんかを想像したんですが、入ってみるとびっくり。輸入雑貨と家具が並んでいて。

うちは、父がこの界隈で布団屋を営んでいたんですよ。それこそ[OMMビル]で店をやっていたり。[船場センタービル]へうちが入ったのは、父が区分所有エリアの物件を購入したことがきっかけで。船場センタービルの中でも布団屋をはじめたんですが、割とすぐに店を畳んで、婦人服販売の会社に物件を貸したんですよね。その店が辞めはるタイミングが、僕が大学を卒業する頃。で、ここで何か商売させてくれへんか?と、頼んだことから輸入品販売をスタートしました。

ーー綿製品や布団とは違う、輸入品となると全く違う畑。どうして輸入雑貨をやろうと思われたんですか?

当時、僕は島之内に住んでいたんですが、家の目の前に輸入雑貨の卸売を行う会社があって、ガレージセールなんかに足を運んでいて。こんなに面白い商品がいっぱいあるんだなって感銘を受けたんですよね。自分で何かするなら輸入雑貨を扱いたいなって。

ーーなるほど。

通っていくうちに、その会社の方とも親しくなっていって。ここの商品を直接卸して販売するお店を出すことになったんですよ。それが、5号館の[リビングファッションスコット]。当時は完全にそこから卸した商品を扱っていたんですが、当時は景気がよかったので、イタリアをはじめとするヨーロッパ圏まで仕入れの裾野を広げたんですよね。

ブリキで作られた車

ーー当時扱っていた商品はどんな品が多かったんですか?

木のモビールだったり、人形だったり、ブリキで作られた品が好きで。そういったアイテムを中心に仕入れていました。5号館の店はこの店と比べると、スペースも狭いので小物類が中心でしたね。

ーーこちらのお店は、家具や什器だったり大型の品が多い印象です。

スペースが広くなったことで、扱える品が増えたことはもちろんなんですが、やはり一番の変化は仕入れ先が変わったことですかね。現在は、中国からの仕入れがメインなんですが、中国からの輸入はヨーロッパと違ってコンテナ単位での仕入れになるんですよ。例えばそれが小物を仕入れる場合になると1000個単位で仕入れなければならない。1000個を売り切るっていうのは至難の技ですよね。だから、仕入れる品のサイズを大きくしたんですよ。

ーーなるほど……!景気の悪化もある中で、大型の店舗を構えるのはリスクだとも思うんです。舶来マートにお店を構えた経緯もお聞かせいただければ……と。

舶来マートの中で商売をしている仲間の中に小学生の頃からの幼馴染がいるんです。で、その子から「舶来マートへ来たほうがいい」って熱心に誘われて。船場センタービル自体もすごく盛り上がっているという状態ではなかった時代だったので、悩んだんですがそこまで言うなら……と、借りてみることにしたんですよ。

舶来マートは、客層が違う独立エリア。

舶来マートは、客層が違う独立エリア。

ーー実際に入居してみて、どうでしたか?

幼馴染が熱心に誘ってくれた理由がすぐにわかりました。まず、このあたりは完全に卸売の会社が入居しているゾーンなので、他の号館と比べると少し客層が変わるんですよね。いわゆるプロの方がかなり多くて、仕入れる値段もグッと大きい。目も肥えているので、ええ品であれば、売れる土壌があって。

ーーたしかに。舶来マートにはそういうイメージがあります。

うちの製品は、今の市場で言うとトレンドど真ん中って感じではないんですよ。でも、ファンは一定数いるんですよね。例えば、うちの主力商品でもある、アイアン製の什器なんかは、エステだったりネイルサロンだったりの内装に使われる機会が多くて。ウチくらいの規模で商品を揃えてる店は多くないので、自然とウチに仕入れに来てくださるんですよね。

ーーニッチな層をついていく感じですね。

そうですね。スタイルをガラッと変えることは可能だとは思うんですよ。でも、そうするとトレンドが変わるたびに商品を一新する必要がある。自分自身をもすり減ってしまうし、商品への情熱も上げづらいじゃないですか。だから、多分これからも同じスタイルで細々と続けていくと思います。

船場センタービルの魅力

ーー長らく、船場センタービルに入居されていらっしゃるワケですが、魅力はどこにあると思いますか?

横長のビルで全長1キロ地下2階地上3階まであるので、いろんな種類の店がありますよね。それに雨にも濡れないし、人を呼びやすい立地も魅力ですよね。ごっついパワーを秘めている場所だと思います。ただ、東京のTOCとかもそうですけど、卸売自体が今あまり好調ではないんですよ。ただ、卸売ならではの面白さっていうのがあって。値切りもイケる空気感というか……、いいものが安く手に入る場所なんですよね。

ーー最後にここを変えたいというポイントがあればお聞かせください。

新しいことを始めやすい環境にしていきたいと思いますね。例えば日曜日に開館してみるとか、今回みたいにメディアを立ち上げてみるとか。古い場所なんで若者が来づらいんですよ。だから、若い人たちが新しいことを始めたりするのは積極的に応援していきたいですね。

ーーなるほど。今日はありがとうございました!

輸入家具専門店 綿長物産 Alex Home Decor 正面

父が持つ船場センタービルの物件で、好きだった輸入雑貨の販売を始めた[綿長物産 Alex Home Decor]さん。流行り廃りに流されず、情熱があるものを売り続けることで多くの顧客さんから愛されていることがわかりました。舶来マートは卸売がメインのエリアですが、コチラのお店は小売もイケるスタイル。船場センタービルに訪れたなら、フラッと足を運んでみてほしい。

取材・文:ロマン/写真:西島渚

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